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短編小説「転がる」 





                  傘を買う男





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posted by スガ リヒト | 09:01 | ショートショート | comments(94) | - |
短編小説「転がる」 





                  傘を拾う男







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posted by スガ リヒト | 08:59 | ショートショート | comments(0) | - |
ベンチ
 "夏"が長居し、"冬"が足早に来る。
 "秋"は入る間もなく、ただ呆然と、その自分が座るべき椅子に座ることなく、自分の名前を"春"に変え、冬が去るのを待つ。おそらく、私の住んでいる街の気候はこういうものだろうと憶測をたてながら、私は目覚めた。実家の二階からの朝景色は懐かしく(私は昔二階に自分の部屋あった。)、やはり毛布だけでは肌寒かったのか、少々声が出なかった。そう、もう”冬”は来ているのだ。
 二階から一階に降りると、母が朝食の支度をしていた。フライパンに卵が焼ける音がした。昔からの馴染みの音だ。
 「あら、早いのね」私は昔、早起きではなかった。そのことで何度も母と口論になったことはよく覚えている、良い思い出だ。朝食のメニューは以前と変わらず、目玉焼きとご飯、それが、嬉しかった。
 「散歩してくる」一杯だけお茶を飲んで、私は母の返事も聞かぬまま、玄関の冷たいドアを開け、"冬"の中に身を投じた。「もう朝食できるのに」ドアを閉めると同時に少しだけ聞こえた。しまった朝食が冷えるな、と思いながら、昔は毎朝冷えた朝食だったではないか、と思い笑えた。
 近くの公園まで行くと、あたりは寂れていて、私がこの街に居た頃と少し変わったな、と実感した。昨日の夜の寒波ですっかり冷え切ってしまった茶色い二人用程のベンチに座り、暫くすると、辺りから少し肌寒い風が吹き、"冬"が横に座った。やはり秋は自分の席を取れなかったのだな、としみじみに思う。
 「なぁ、なんで"秋"に席譲ってあげないんだよ?」と、誰もいない、一人分だけ空いたベンチに語りかけた。答えてくれるはずもないよな、と私は思い、ふっと笑って公園を出た。今家に戻れば、まだ朝食は温かいかもしれないと思い、ゆっくり歩き始めたところだった。その時だった。

 ふっと風が吹き、草が鳴き、木々が反応した。
 「実はいるんだよ、ここにね?」

 透き通るような声だった。朝焼けの紅色の世界は無くなり太陽が照り始め、辺り一面にあった"冬"の景色は消えていき、"秋"の景色になっていった。
ベンチをよく見ると、あそこには三人分座るスペースがあることに、今更ながら気付いた。もう少し、秋と一緒に居たいと、心から思い、またベンチに戻った。
 暫くして家に戻ると、やはり朝食は冷めていた。
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posted by スガ リヒト | 11:32 | ショートショート | comments(15) | trackbacks(0) |